一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
着いているとだけ一応連絡しておこうと、バッグからスマートフォンを取り出し、メッセージアプリを開く。
『もう着いてるよ。祐介は何時頃着く?』
送信したが、しばらく画面を見ていても既読にならない。
ポケットにでもしまい込んでいて気づかないのかもしれない。待ち合わせたのだから、ここにいればそのうち来るだろう。
そう考えなおしてバッグへスマートフォンを戻したときだった。見覚えのある顔が街灯から少し離れたところに見えたような気がして、そちらを凝視する。
まさか。いるはずはない。一瞬ドキッとした鼓動を宥める。
ところが近づくにつれて鮮明に見えてくる顔は、間違えようもない拓海だった。
彼も実花子に気づいて足を止める。
どうして実花子がここにという顔だった。
再び足を進めると、実花子の目の前で立ち止まった。
ここは拓海が仕事で来るような場所ではない。だとすると、拓海も誰かと待ち合わせだろうか。
「こ、こんばんは。こんなところで会うなんて」