一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~


「俺も祐介くんから呼び出された」
「……え?」


拓海の予想外の言葉が実花子の言葉を詰まらせる。

拓海も祐介と待ち合わせ? それはつまり……祐介に取り持たれた……?


「女の子とのデートの下見に付き合ってくれと」


実花子がそうからかったときに慌てた素振りだったのは、拓海にまさにそうお願いしていたからだったのか。

どうりでおかしいわけだ。祐介が中学二年生にもなって、姉の実花子と遊園地に行きたがるはずがないのだ。
よくよく考えてみれば、デートの下見は男友達を誘えばいい。それに気づかずホイホイ誘いに乗った実花子の、なんと単細胞なこと。


「忙しいのにごめんなさい。祐介が変な気を回してみたいで。帰って大丈夫ですから。せっかく来てもらったのに申し訳ないですけど。ほんとにごめんなさい……」


深く頭を下げる。
今さら遊園地でデートをしても、拓海の気持ちを変えるのは無理。それどころか貴重な時間を使わせて、もっと嫌われるだろう。
< 323 / 411 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop