一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~

「あのそれじゃ、私はこれで」


おやすみなさいと背を向けた瞬間、拓海に腕を掴まれた。


「せっかくだから」


振り向いて見た拓海が、実花子から遊園地へ視線を投げる。


「行こうか」


多分、ここで実花子がもう一度断れば、拓海は無理に引き留めないだろう。それを実花子ができずにいるのは、もう少し拓海と一緒にいたいから。拓海は単に祐介の好意を無にしたくないだけだとわかっていても。


「……いいんですか?」
「このまま帰ったら、祐介くんに申し訳ないから」


それだけの理由でも実花子はいいと思った。祐介を盾にして一緒にいられるのなら。
実花子の答えを待たずしてチケットカウンターへ並んだ拓海の背中を追いかけた。

さすがは夜の遊園地。どこを向いても男女のカップルだらけだ。
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