一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
ふたりが盛り上がる脇で、拓海と実花子は無言。取り分けた料理も、お互いにほとんど手つかずだった。
「あの……この前の遊園地はごめんなさい」
実花子たちの間にだけ流れる重苦しい空気に耐えかねて口を開く。ほかに話題は見つからない。
「いや」
「写真の処分もお願いしてすみません」
無理やり撮らされた観覧車の写真だ。
拓海は一瞬目を泳がせたあと、やはり「いや」と答えるだけだった。
「それで、実花子ちゃんは通いはじめてどのくらいになる?」
高木とふたりで盛り上がっていた白鳥が、不意に質問を投げかける。
「あ、えっと……」
「一ヶ月くらいじゃない?」
拓海に全神経が向いていたときに急に話を振られ、頭が追いつかない。言葉に詰まった実花子の代わりに高木が答えた。