一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
拓海の熱いまなざしが実花子を射抜く。真っすぐに見つめられて動けなくなった。
ゆっくり閉じる瞼。唇に拓海を感じたのと同時だった。
リビングのドアが開けられ、またもや祐介の咳払いが聞こえてきた。
慌てて拓海から離れる。
「結構ゆっくり時間つぶしてきたんだけど、まだまだ足りなかった?」
クスクス笑いながら言われて、顔が一気に熱くなる。
「そ、そんなことないからっ」
「そうだよ、祐介くん」
拓海とふたり背を向け合って座る。明らかに挙動不審だ。
「もう一回、コンビニに行ってこようか?」
「だ、大丈夫だから!」
言われるほどに恥ずかしくなる。もう本当に勘弁してほしい。
「家は近いし、邪魔者は先にひとりで帰るとするか。ふたりでゆっくりしてきたら?」
含ませたように笑いながら大きく伸びをする。そして祐介は、そのまま背を向けた。
拓海と実花子は顔を見合わせて、慌てて立ち上がる。
「ちょっと待てよ、祐介くん!」
「祐介、待って!」
その背中を追いかけて、実花子と拓海は走りだした。
END