一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
拓海は実花子が手にしていたマスカットの皮を剥き、「開けてごらん」と口を開かせた。素直に応じた彼女の中にそれを入れ、続いて自分の唇を指差す。キスの催促だ。
実花子は困ったようにしながら、拓海にそっと唇を重ねた。
彼女の腰を引き寄せて口もとを緩めると、おそるおそるといった様子で実花子がマスカットを舌で動かしてよこす。それを受け取ると、甘い芳香が鼻から抜けていった。
「うん、おいしいな」
絶対においしいからと勧められるままに買ったが、店員の言葉は嘘ではなかった。
「でも、俺はこっちのほうがいい」
拓海は実花子をさらに引き寄せ、奪うように口づけた。
「――んっ、たく……みさ……」
ちょっと待ってと言おうとする唇を強引にねじ伏せる。
自分がこんなにも女性に執着するとは思いもしなかった。実花子と出会う前の拓海は、キスもその先も、恋愛そのものがゲーム同然だった。