一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
自分以外の誰かに心を許すなどありえなかった。
両親が離婚したため、結婚には夢も希望もなかった。ただ便宜上、必要に迫られただけ。
そのはずが、不思議なことに実花子に出会って変わっていく。
自分を飾らないストレートな彼女の性格は容赦なく拓海の心を揺さぶり、少しずつ堅い殻にヒビを入れていったのだろう。それまで媚びを売る女性しか知らなかった拓海は、自分に見向きもしない実花子が新鮮でもあった。
手に入れたいと思ういっぽうで、失う怖さに怯え、一時は自分から手放してしまったが、それは実花子への気持ちをより募らせるばかりだった。
もう二度と彼女を離さない。
そのときの想いがふと蘇り、キスに熱が入った。
「夕食の前に実花子が欲しい」
唇を解放し、吐息を感じる距離で囁く。
普段であれば、そんなことは不可能。今だからこそという刹那的な想いが拓海の欲望に火をつけた。
「えっ、でも……」