一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
運命の再会はまさかの社内で
「あれ? 実花子ちゃん、なんだかお疲れモード?」
休み明けの月曜日。出勤早々、実花子に労いの言葉を掛けてきたのは同僚であり、高校時代からの友人の星川千沙だった。
彼女の部署がある部屋へ向かう途中で、実花子の背中をポンと軽く叩いて顔を覗き込む。
ふわふわのクセ毛を生かしたショートボブは、カラーリングを必要としない自然な栗色。理想的な二重瞼に今流行のぽってりとした唇をした、誰もが〝かわいい〟と認める容姿の持ち主である。
高校時代から服装はたいていがフェミニンなもの。春という季節柄、この頃は薄い黄色やピンクなどパステルカラーのカットソーやスカートを履いている。
カジュアルなパンツルックの実花子とは真逆で、性格もこれぞ女子という容姿から連想したままの乙女だ。
高校時代からチヤホヤされることにいい意味で慣れていて、男性の扱いもうまい。つまり実花子とは正反対の女性である。
知り合ったばかりの頃は絶対に合わないタイプだと近づかずにいたが、二年生のときにくじ引きで体育祭委員にふたりでなったのが仲良くなるきっかけだった。