一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
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その夜、お馴染みの一休で実花子が白鳥に苦情を申し立てたのは言うまでもない。
焼き鳥と一緒に燻されてしまいそうなほど、白く煙る店内。ちょうど焼いている炭火の前に陣取ったため余計に煙い。
「実花子ちゃんが、メディアテックに勤めていたとはねぇ。それもまた縁というものだね」
焼酎を飲み干し、白鳥が感慨深げに呟く。
白鳥とは、ここで会うようになって半年にも満たない。実花子自身も、白鳥が企業の買収に携わっているとは知らなかったし、白鳥が顧問を務めている会社の傘下に勤め先が入るなんて夢にも思わなかった。その親会社の代表が拓海だとも。
「でも、さすがは拓海くんだな。みんなの前で実花子ちゃんをフィアンセとして紹介してしまうんだから」
白鳥がハハッと笑い飛ばす。
「笑いごとじゃないです。私はお断りするつもりなんですから」
「おや、どうしてだい? 拓海くんはなかなかの男だよ?」