一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~

仕事に関してはやり手なのだろうが、拓海は女性相手に関して言えば初心者並みのレベルなのかもしれない。自分に気のない女性に向かって、当然のごとく結婚を迫れるのだから。自信家というか、後先考えない楽天家というか。


「どうして私なのかがわかりません」


そのひと言に尽きる。まったくもって理解できない。


「おや? 拓海くんから聞いていないのかい?」
「なにをですか?」
「実花子ちゃんを御所望した理由を。拓海くん、自分で話すと言っていたんだけどね」
「あ、それなら聞きました。サバサバした男顔負けの性格と飾らないところがいいと」


ほかにどこかなかったのかと思うような理由だが、一応は褒めてもらえたと思っておこう。


「そうなんだよ。これからもあらゆる会社を傘下に治めるにあたって、いくら敏腕でも独身というのは、どうしても信用性に欠けるんだよ。それで、なるべく早く身を固めたいとね」


それは一理あるかもしれない。でも、それと男勝りの性格といったいなんの関係があるのだろうか。結婚を早くしたいのはわかるとして、どうしてそこで実花子なのか。
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