一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
こういうバーに日本酒があるわけがない。カクテルのカの字も知らない実花子には注文すら難題だったため、思わず聞いたのだ。
拓海も人が悪い。いつも行く店が焼鳥屋だと知っているのに、こんな店へ誘うのだから。
実花子は、無知をつい人のせいにした。
「よろしければ、お任せでなにかお作りしましょうか?」
なんて気の利くマスターだろうか。
「はい、お願いします」
その言葉に甘えることにした。
待つこと数分。スマートな手つきで振られたシェーカーから出てきたのは、淡いピンク色のカクテルだった。
「コスモポリタンです。どうぞ」
さすがはカクテル。ネーミングからしてしゃれている。
「綺麗」
思わず口をついて出た感想に、マスターは「光栄です」と律儀にお辞儀を返した。