一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「えっ、それじゃ、これがマスターの私に対する第一印象ですか?」
「そうです」
笑顔を崩さずマスターが答える。
「こんなに可愛らしいピンク色のカクテルが?」
「はい」
「いえいえいえ」
どちらかと言えば自分はブルー系の色味だろう。それも良く見立て過ぎかもしれない。黄土色などのくすんだ色味が自分にはお似合いではないか。決してピンクではないはず。
「お気に障ったのなら謝ります」
「違うんです。ただちょっと自分でイメージしているものとは違うので……」
「そうですか? お話ししていくうちに変わるかもしれませんが、第一印象はこういうイメージです」
「ありがとう、ございます」
何度もそう言われると、なんだか恥ずかしくなってくる。
ほかにお客がいないことが仇になるとは。マスターの気がほかに向けばいいのにと思いつつ、照れ隠しにカクテルを一気に飲み干す。本当においしく、何杯でもいってしまいそうだ。