一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
きっぱりはっきり言った気満々だった。これ以上の説明はないはず。これでもう、さすがの拓海もなにも言えないだろう。まともな回答はこのほかにはないから。
どうだとばかりに彼をチラッと横目で見ると、小首をかしげて固まっていた。なにも言い返せなくて困ったといったところか。
これできっと自分との結婚はあきらめるだろう。ちょっとした清々しさのなかコスモポリタンに口を付けた。
「それだけ?」
実花子がゴクンと喉を鳴らしたところで拓海がポツリと呟く。
今度は実花子が小首をかしげる番だった。
「愛がないから結婚はできない?」
「そうです」
「それって重要なこと?」
口の中になにも入っていないのをこれほど喜ばしいと思った経験はない。もしも口の中に食べ物や飲み物が入っていたら、今の拓海のセリフで全部吹き出しているところだった。
「最重要事項だと思いますけど」