一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「愛なんて存在に目が向くのは最初のうちだけだよ。それなら、はじめからなくても問題ない。大事なのは経済力。これに尽きるよ」
拓海はサラリと答えた。しかも最上級の王子様スマイルで。
もしも今のシーンを音声なしで見たら、まさかそんなえげつないセリフを言っているとは思わないような極上の笑みだった。
なんて人だろうと引くと同時に、少し憐れにも思えた。
「それなら、椎名さんと同じように考えている女性を探してください。私は、その考えには賛同できませんので」
もちろん愛があればお金は一銭もいらないとは思わない。あるに越したことはない。でも、その根底には確固たる愛が存在していなければ実花子は嫌だった。
「俺の肩書にも経済力にも魅力を感じない?」
少し寂し気に見える表情に絆されそうになるのも、この容姿のなせる業。ここで気持ちがぐらついてどうするのだ。
「はい」