君をあきらめない ~永遠に続く愛を君に~
「了解」
いつものように湯船で海璃の胸に背中をつけてもたれかかりながら、話を続ける。
「仕事、大丈夫なの?」
「もちろん。知ってんだろ?俺が勤務時間範囲から出ない男だって」
そう言って海璃は笑う。
「そうだったね」
私が残業をしたり、早出をして仕事をしていても、海璃は定時ギリギリに出社して、就業時間にはすぐに帰宅していた。
懐かしい会社での海璃を思い出す。

あの場所で海璃を見ることは二度とないんだな・・・

そんなことを思い少し切なくなっていると、海璃が私の腰に回している手に力を込めた。

「俺が唯一会社に早く行った日はよく知ってんだろ?」
きっと私の悲しみを紛らせるために言った言葉だとわかりながらも、私はなつかしさに心が温かくなる。
「そうだった」
海璃が唯一会社に早く出勤したのは、私たちが付き合うと決めたあの日だ。
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