君をあきらめない ~永遠に続く愛を君に~
「何年も待ったんだ。」
「・・・うん」
「もう待たない。」
「うん」
海璃はジュエリーショップにその日に指輪をして帰宅したいと頼んでくれていたらしい。

私たちには何か月も指輪のサイズを直したり、名前を刻む時間をかけられない。
だから私が気に入りそうなデザインの指輪のサイズは用意してもらっていて、その日のうちに私たちはお互いの薬指にはめて帰宅することができた。

ジュエリーショップからの帰り道。
それまでなかったハンドルを握る海璃の薬指にシルバーのリングがはめられているのを見ると、複雑な思いは吹き飛んで、やっぱりくすぐったくうれしかった。

同じ指輪が私の薬指でも輝いている。

海璃はハンドルを握りながら私に言う。

「これは俺と京香の約束だからな。あきらめないっていう約束だからな」と。
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