君をあきらめない ~永遠に続く愛を君に~
『コンコン』
「はい」

病室の中から京香の声がする。それだけで、意識の無い水曜の京香を見ていた俺は安心してぐっとこみ上げるものがあった。
ぎゅっと唇をかみしめてこみ上げるものを必死にこらえてから俺は病室の扉を開けた。

そこにはベッドの上に体を起こしている京香がいた。

「よっ」
「よっ」
あふれ出しそうな気持が邪魔して、なんて言ったらいいかわからなかった俺はそんな声のかけ方をしてしまった。きっとそれは京香も同じで、俺の言った言葉をそのままに返してくる。

あーやばい。泣きそうだ。

「ん」
その時、京香が俺に向かって両手を広げた。微笑みながら。
その顔を見れば俺が来る前に泣いていたことも、今だって泣きそうなこともわかる。

こんな状況でも強がろうとする京香が、京香らしくて、俺はふっと笑って、京香の方に近き京香を抱きしめた。
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