君をあきらめない ~永遠に続く愛を君に~
「もう一度、今日の検査結果を持ち帰ってご夫婦で話し合ってください。現状、奥様は妊娠することは可能です。でも、ご夫婦の協力なしでは出産はできませんし、それ以上に、出産して終わりではありません。子供を持つということはその子の人生を背負うことでもあります。」
医師は京香の肩にそっと手を置きながら京香の顔を覗き込むように話す。
「ご主人はあなたを想われているからこそ、あなた以上に不安なんですね。ご夫婦でもう一度話してみてください?もし、それでも妊娠を希望されるなら、私たちは全力でできるサポートをさせていただきますから。」
穏やかな口調に、京香は顔をあげてしっかりと頷いた。




京香の余命宣告が撤回されてから数か月たち、京香から俺は話を切り出された。

子供を持てるかどうかを調べたいと。そして、可能ならば子供を産みたいと。

俺は気づいていた。昔から、京香が子供をもちたい夢があったことも。

病気になって、その夢を叶えられないかもしれないと思った時、俺を想ってほかのだれかとの未来に背中を押そうとしたことも。
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