君をあきらめない ~永遠に続く愛を君に~
「海璃が小さな男の子をだっこしている夢」
「いつ?」
「うーん。病気が分かって間もないころかな。」
「そっか」
「・・・あの夢の中では私は出てこなかった。」
「・・・」
京香は俺の手をギュッと握って話を続ける。

これから話すことはきっと京香が決断したことだ。

「だからかな・・私意地になってたのかも・・・」
「意地?」
「そう。あの夢の中の世界には私が居たいって。ほかの誰かじゃ・・・やっぱり嫌だもん。」
「うん」
そりゃそうだ。京香の気持ちが痛いほどわかる。

俺だってもしも京香の状況が自分だったとしたら、死んでしまうかもしれない自分がのこす京香を想って同じことを言ったと思う。でも、本心は違うに決まってる。

一緒にいるのも。幸せな未来をつかむのも、相手は俺がいいと思うに決まってる。
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