君をあきらめない ~永遠に続く愛を君に~
俺に呼ばれて、京香が俺の腕の中から、俺を見上げる。

「治療はしない」
「・・・うん」
俺の言葉に、京香は視線をもとに戻す。
治療しないという言葉で、子供をあきらめると京香は俺が言うと思ってるんだ。
でも、京香。俺の選択は違う。

「自然に任せて子供ができたら、俺は全力で京香をサポートする。生まれたら世界一過保護な親父になって、べろべろになめまわすと思う。」
「え?」
京香がもう一度俺の方を見た。

その瞳に、絶望に似た影が浮かんでいたのに光が満ち始める。

俺は京香の体を抱きしめた。

不安がないといったらうそになる。

でも、諦めずに生きる奇跡をつかんでくれた京香の夢。
俺にとっても、京香と俺の子供に会いたいと思うのは夢でもある。

その夢をあきらめない決断を、俺はした。
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