君をあきらめない ~永遠に続く愛を君に~
「京香」
「ん?」
海璃がテーブルの手前で足を止めた。
「なに?」
私も一緒に動きを止めると海璃は振り返り私のおでこに手をあてた。
「熱っぽいか?」
その言葉に、何も自覚症状がない私は首を横に振った。

すると海璃は少し眉間にしわを寄せてから、急に私の手をひいてテーブルを通り過ぎ、トイレの前に連れて行った。

「なに?」
行動の意味が分からず海璃に聞く私。
海璃は私の手を離すとトイレの中にある棚に入っている妊娠検査薬を出し、私の手にのせた。

「え?」
そこは夫婦だ。海璃は私の生理の周期もちゃんと知っている。
むしろ私の体を私以上に理解し始めている海璃。

全くピンと来ていなかった私も、やけに眠気を感じている最近の体や、自分では気づかなかった熱っぽさも・・・
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