君をあきらめない ~永遠に続く愛を君に~
「どうしよう・・怖い・・・」
妊娠検査薬の箱を胸に抱くようにしたまま、震えだす体で海璃を見上げると、海璃は待ちきれないという表情で「一緒に検査するか?」ととんでもないことを言い出した。
「無理。行ってくる。」
本当にこのままだとトイレに一緒に入ってきそうな勢いの海璃に、私は覚悟を決めてトイレに入った。
トイレのドアの向こうからも「京香、無事か?大丈夫か?やり方わかるか?出るか?水持ってこようか?」と何かとうるさい海璃。

こんなにまくしたてるように話をする海璃。きっとかなり余裕がないのだとすぐにわかる。

海璃が余裕のない時は、私は意外と冷静になれる。

私は海璃の声を無視して検査をした。

結果を見ないまま私がトイレから出ると、待っていましたとばかりにドアのすぐ前に立っていた海璃が私を見た。
「どうだった!?」
「まだ見てない。」
なぜかすでに泣きそうで、私の声がかなりふるふると震えていた。
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