君をあきらめない ~永遠に続く愛を君に~
「あのノートを渡すってことは、お前が今までの自分をなかったことにするってことだぞ?積み上げたもの、捨てるようなもんだろ」
海璃の表情が心配に変わる。
「どうしちゃったんだよ、お前。何があったんだよ」
私の腕をつかみながら、私の顔を覗き込む海璃。

私は海璃に気づかれないように深呼吸をした。

「お前、最近変だぞ?何があったんだよ」

海璃はいつだってそうだ。

私を自分のことのように心配してくれる。
なにかがあると誰よりも早く気づいてそばにいてくれる。

私が何か欲しい言葉があれば必ずくれるのは海璃だった。

抱きしめてほしい時に抱きしめてくれるのも海璃だった。

その海璃が私を想って、感情をこんなにあらわにしてぶつけてくるのははじめてだった。
< 55 / 309 >

この作品をシェア

pagetop