君をあきらめない ~永遠に続く愛を君に~
私が冷めた視線を海璃に送ると「おー怖い」と海璃は肩をすぼめた。

「じゃあ、行くから私」
「電話でだって十分なのに、直接行くなんて、やっぱお前情に厚いな」
「何よそれ」
私は海璃を廊下に残して歩き始める。
「今夜」
背中から聞こえる海璃の声に私は歩く足を止めないまま少し振り返り、微笑みで答えた。

ちらりとあった視線で、海璃が笑っていることが分かる。

少し緩めたネクタイの海璃。

そのネクタイをきっちりしめたい衝動に駆られる。

私と海璃の仕事の仕方は全く違う。
性格だって正反対だ。
なのに、どうして離れられず、惹かれるんだろう。
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