必ず守るから、だから、笑って
どうでもいいように聞こえる質問。
それなのに、さっきと変わった私の雰囲気を察したのか、少し真剣な顔になる晴葵。
「……あるよ」
「返してくれる?」
「今すぐには無理かな」
……はぁ。
思わずため息をつく。
あのブレザーがどんなに重要なものかも知らないくせに。
いや、知っているからこそか。
「……そ。返してくれるのならいいけど。ただ、”なにもしない”でね」
この意味、晴葵”たち”になら分かるでしょう?
「あと、”そのこと”は他言無用だよ。どうせいっくんと透理くんも知ってるでしょう。口止めしておいてね」
「分かってる。だけど、”あれ”は誰が……」
「大丈夫。誰かは知ってるよ」
その言葉は晴葵には衝撃的だったのか、大きく目を見開いた。
「えっ、じゃあどうして……。」
「後々必要になるからだよ」
「……なぁ、希愛。いったいなにしようとしてんの?」
「……なんのこと?」