必ず守るから、だから、笑って


頭で理解するよりも早く、朔に抱きついていた。


「朔っ、朔…っ、私、あの、ごめっ」


気がつけば私の目からは涙が溢れ出ていて、言いたいことが山ほどあるのに、涙のせいで上手く言葉にならない。


「謝ろうとすんな。誰も怒ってない、俺たち誰もな」


“俺たち”とは水煉のみんなを指しているのだと思う。


「でもっ、すいらっは、なくなった、って」


「なくなってないよ、水煉。総長が任せたって言った場所なくすわけないだろ。ただ、待ってただけ、希愛を」


こんなっ、身勝手な総長を待っててくれてたの…?


私は勝手に朔に任せて、勝手に消えて、勝手に帰ってきて、勝手にまたこの世界に入ってるのに。

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