必ず守るから、だから、笑って

「のあはこっちね」


そういって連れてこられたのはさっきの椅子。

晴葵が座る椅子。

で、晴葵のうえに私。

いや、正確に言うと、晴葵の足の間に私。


あまりにも素直に私が座るから、晴葵は満足そうにしている。


だって、ちょっと居心地よかったんだもん。

それに、助けてくれるって言ったもん晴葵が。


一度深呼吸してから、口を開く。

なぜか緊張はない。


「んーと、ね。どこからはなせばいいかな」


私が話始めるとみんなの目が一気に真剣になる。

と同時に晴葵は私を安心させるようにお腹に手を回す。


「えっと、まずは、そうだな。みんなご存じの通り、だと思うけど、私は水煉の元総長、水蝶、です」


静まった部屋に、私の心臓の音が鳴り響く。

どきどき。


今から言うことに、緊張してるんだ、私。


これを話せば絶対助けてくれることはわかってる。

だからこそ、巻き込むことが怖い。


その恐怖心で鼓動がさらに早くなるのを感じる。


「前にココにきたときに、蒼空、が抗争に巻き込まれた原因は私って言ったけど…。」


それからすべてを話した。

撃ったのが新堂だということ、新堂に恨まれていること、新堂に復讐しようと考えていること。


「だから、その、この前も新堂を見つけたからみんなを撒いて帰ったの」

いつの間にか俯いていた顔を上げておそるおそるみんなを見る。


透理くんは相変わらずポーカーフェイスで、四柳くんは鋭い眼の中に優しさを感じて、朔は相変わらず私のことを何でも分かっているかの表情をしていて、いっくんは、うん、少し怒ってるような表情だ。
< 151 / 155 >

この作品をシェア

pagetop