ひきこさん
スリッパを借り、教室に続く廊下を歩く。
「ねぇねぇ、数学の教科書貸して〜!」
「え〜。また〜?」
「良いじゃん!後で購買のパン奢るからさ〜!」
「まぁ、良いけど〜。」
隣のクラスから聞こえてくる会話と笑い声。
楽しそうで良いな。
私にも友達がいたら、あんな感じなのかな。
まぁ、あの子達は私がいじめられていることなんて知らないんだろうけど。
羨ましい気持ちと否定的な気持ちが心の中でごちゃ混ぜになる。
本当は、私だって友達を作りたい。
くだらないことで笑える友達。
なんでも話せる友達。
でも、私はとっくにその事はだんだんと諦めていた。
教室に着いた。
ここから今日を生き抜く戦いが始まる。
私は、教室の扉を開けた。