皇女殿下の幸せフェードアウト計画
もし私が皇帝の娘で、要らなかった存在ならばこちらからお前が父親なんてごめんだと真っ向から怒鳴ってやりたい。

遠目から見た皇帝は、自分で言うのもなんだけれど似ている気がした。

けれど気のせいかもしれないと調べれば調べる程、過去の状況は母と私に符合する。

それが余計に苛立った。いっそ大きな違いがあったなら、どれだけ良かっただろう！

（形見のペンダントが、歌姫ラエティティアの最後に描かれた肖像画になければよかったのに）

出来合いの品で、たくさんあるうちの一つで、私の母親が偶然にも歌姫のファンで同じものを買っていて、同じ時期にあの付近で不審者に追われていただけかもしれない。

無理がある。自分でもわかっている。

でも、違うかもしれない。違ってくれたら、一番私の心が穏やかになれる。

父親かもしれない男には妻がいて、その妻との間に娘が一人。

とんでもなくワガママで癇癪持ちだという。相当甘やかされているに違いない。

（私が娘だとしたら、どうして……同じ娘なのに、母親が違うから？）
< 267 / 370 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop