皇女殿下の幸せフェードアウト計画
腹の底からふつふつと怒りがわいてくる。

どうしてくれよう。

でも相手は皇帝だ、簡単に会える人じゃない。真実を確かめるならば、忍び込むしかなかった。

(バレたら、処刑でしょうね)

馬鹿なことをしているという自覚はあった。

でもまるで神が私を後押ししてくれるかのように、動けた。城に忍び込み、髪を汚しお仕着せを着て、武器を隠し……こんなに上手くいくだなんて、何て恐ろしいんだろう。

そう思いながらも心がどこかで高揚した。冷静な自分が、おかしいといくら言おうとしても今なら何だろうと上手くいくような気がした。

何度かフォルセティという人に出会った。

街中で調べている時にも何度か顔を合わせた男は、城勤めだったのかと知って捕まると覚悟もした。

だけれど彼はそれをしなかった。

(……私ならば、道を誤らないだろうって、どうしてそんなことを思うの)

お願い、私に期待をしないで。

私は、私のワガママのために勝手に怒って勝手に行動しているのに。

(だって私は、私を捨てたのなら……復讐してやりたいって)
< 268 / 370 >

この作品をシェア

pagetop