皇女殿下の幸せフェードアウト計画
中庭に、武器を取りに行った。どろどろとした気持ちを、どうにかしたかった。

そこにまさか皇女がいるだなんて思わなくて、心臓がひやりとする。

失せ物を探していたのだという私の嘘を、彼女は信じた。

ワガママで、癇癪持ち。

そんな感じはまるでない、ただの……寂しそうな少女しか私の目の前にはいない。

なんの咎めもなしに去れと言われた時、つい、尋ねてしまった。

「姫様は、兄弟が、欲しいと思われたことがおありなのですか?」

「……」

その問いかけに、彼女は――イリス皇女は驚いたようだった。

見たこともないその侍女の問いに戸惑ったんだろうと思う。それでも彼女は答えてくれた。

「……そうね、いたら良かったと……思うわ」

寂しそうな眼差しだった。きっと愛されているんだろうと思っていた彼女も、違うのだと知った。

(ああ、この子も同じだ)

瞬間的に、感じる。

互いが誰かを知らなくてもわかる。だって彼女は私の妹だ。

求めているものが似ていて、何がおかしいだろう。
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