皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「兄がいたら、この重責を変わってもらえたかもしれない。姉がいたら私を可愛がってくれたかもしれない。一人でいることなんて、なかったかもしれない」

「……」

「かもしれない、だなんて曖昧なものだわ。私はこの皇国の皇女。忘れなさい、貴女の不躾な問いは私の弱音を聞いてくれたことに免じ、忘れてあげましょう」

皇女としての重責に、今にも潰れそうな妹を抱きしめて挙げたかった。

私が姉だと声を挙げて、この場から救い出してあげたくなった。

これは衝動だ、ただの衝動。

まだ私が何者か、それを確かなものにしなくては。
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