秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
一
ビルが乱立する都心の中、オアシスのような自然公園内の細道を私、大畑穂乃果は同期の高橋沙季と並んで進んでいく。
時刻は午後一時四十五分。暖かな日差しが降り注ぐ公園には、噴水の近くで遊ぶ親子や、ベンチに座って団欒を楽しむお年寄り、そして私たちのように急ぎ足で公園内を通り過ぎていくサラリーマンの男性の姿などが見られる。
私たちはここから歩いて五分もかからない場所にある洋食屋でお昼ご飯を食べ終えたばかり。
昼の休憩時間終了まであと十五分。急いで会社に戻らなくちゃと、徐々に足早になり始めた私の行く手を塞ぐように、突然沙季が目の前に回り込んできた。
「穂乃果! お願いったら!」
思わずつんのめりそうになった私へと、沙季が両手を合わせて懇願する。
「そういうのは無理。ごめんね」
「ただそこにいるだけでいいの。合コンに参加して。お願い!」
すがるように見つめられ、ため息とともに視線を足元に落とした。
沙季は今夜、学生時代の友人四人と合コンがある。
相手は大学病院に勤める医者で、彼女の口から楽しみにしていると前々から聞いていたのだが、友人のうちひとりが急遽参加できなくなったらしい。
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