瑠璃色の世界で、君に終わらない恋をした。


「ただいま」

健ちゃんは十分(じゅっぷん)も経たないうちに、レジ袋をぶら下げて帰ってきた。

「おかえり。いくら?」

「ん、いいよ別に。ポテチで良かったか?」

「うん!ありがとう」

彼はガサガサと袋を漁ると、コンソメ味のポテトチップスと雑誌、タバコ二つをテーブルに並べた後ニヤッと笑って、最後には勿体ぶるように缶ビール二本を取り出した。

「あ、昼間から悪いんだー」

「いいんだよ、休みの日くらい。大人の特権てやつ?」

「まぁ、健ちゃんがどうしてもって言うなら付き合うけど」

「別に飲みたくないなら無理しなくていいんだぞ」

「えー嘘うそ!ごめんなさい。飲みます」

「ったく、最初から素直にそう言えばいいんだよ」

健ちゃんはぶつぶつと文句を言いながら、私に缶ビールを一本差し出した。

ベランダに出て二人同時にタバコに火をつけると、健ちゃんは煙に目を細めながら缶ビールのプルタブを開けた。閑静な週末の昼下がりに、炭酸の潔い音が響き渡る。
< 148 / 214 >

この作品をシェア

pagetop