瑠璃色の世界で、君に終わらない恋をした。
「結局無い物ねだりなんだよな。手に入らないから良く見えるし、会えないから会いたいって思うんだろ?
俺も今はサキさんの二番でも何でもいいって思うけど、手に入ればきっと、自分の思い通りにしたくなるんだよ。
満足なんて一生出来ないんじゃないかと思うよな。藍ちゃんだって彼氏いるけど彰人とも会ってるし。だけどそうかと思えば、超絶遊び人の彰人は、なんかいっつも幸せそうだもんな。何が一番幸せなのかなんて、実際よく分かんねぇよな」

健ちゃんの言うことはいつも滅茶苦茶なようで、あながち間違っていない所が面白いと思う。

もしも泰輝が生きていたら、私たちは今もまだ一緒に居たのだろうか。健ちゃんの言う通り、案外つまらない事をきっかけに、私たちは別々の道を歩んでいたのかも知れない。
現に秀くんと那月だって、とっくの昔に破局を迎えている。

「藍ちゃんはなんで彰人くんが良いのかな。優しくてかっこいい彼氏がいるのにさ」

「相性良いんだって。彰人が言ってたよ」

「聞かなきゃ良かった!」

「そんなもんだろ。皆無い物ねだりだよ」

「そっか。あーあ、健ちゃんは大人だなー」
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