瑠璃色の世界で、君に終わらない恋をした。
「ありがとう柚歌ちゃん。泰輝の事ずっと大事に思っててくれて。泰輝が柚歌ちゃんや秀明、俺たち家族以外の中でもちゃんと生きてる事が、俺は本当に嬉しい」
暑いからそろそろ車に戻ろう。
慎くんにそう促され、私はもう一度だけ泰輝に手を合わせた。そしていつでも好きな時に泰輝に会いに来てもいいと言って貰えた事に内心ほっとしながら、慎くんと一緒に駐車場へと戻った。
パパになってすっかり角が取れた慎くんの愛車のミニバンには、絵本やオモチャが沢山転がっていた。
操作していたカーナビの中に教育番組のキャラクターが突然映し出された時、慎くんは「照が好きなんだ」と少し照れ臭そうに言い訳をしてから、エアコンの風を目一杯強くした。
かつて皆から恐れられていた総長の面影は、もうどこにもなかった。
車内はすっかり冷えきったのになかなか車が走り出さないのを不思議に思い始めた頃、私は秀くんの言葉をふと思い出した。
「あの、慎くん。私に何か話したい事があったんじゃ……秀くんからそんなような事を聞いて」
慎くんは一瞬目を見開いてから、観念したように頷いた。
「秀明の奴、相変わらずお喋りだな。まぁ、今回は救われたけど。話したい事というよりは……柚歌ちゃんに渡したいものがあってさ」
暑いからそろそろ車に戻ろう。
慎くんにそう促され、私はもう一度だけ泰輝に手を合わせた。そしていつでも好きな時に泰輝に会いに来てもいいと言って貰えた事に内心ほっとしながら、慎くんと一緒に駐車場へと戻った。
パパになってすっかり角が取れた慎くんの愛車のミニバンには、絵本やオモチャが沢山転がっていた。
操作していたカーナビの中に教育番組のキャラクターが突然映し出された時、慎くんは「照が好きなんだ」と少し照れ臭そうに言い訳をしてから、エアコンの風を目一杯強くした。
かつて皆から恐れられていた総長の面影は、もうどこにもなかった。
車内はすっかり冷えきったのになかなか車が走り出さないのを不思議に思い始めた頃、私は秀くんの言葉をふと思い出した。
「あの、慎くん。私に何か話したい事があったんじゃ……秀くんからそんなような事を聞いて」
慎くんは一瞬目を見開いてから、観念したように頷いた。
「秀明の奴、相変わらずお喋りだな。まぁ、今回は救われたけど。話したい事というよりは……柚歌ちゃんに渡したいものがあってさ」