瑠璃色の世界で、君に終わらない恋をした。
「よし、着いたよ」

泰輝くんの言葉を合図にあたりを見渡してみたものの、そこにはこれといって特に何も見当たらなかった。
解け始めていた緊張感が、再び高まっていく。

「え、ここ……?」

「うん、ここ!」

彼は頷くと、堤防の上に勢いよく飛び乗った。
嫌な予感がし始める。

「柚歌ちゃん、上がってこれそう?」

「えぇっ……」

予感が的中して私はうろたえた。
中学時代の体育の成績は、ずっと"2"だった。

「俺がちゃんと引っ張ってあげるから大丈夫だよ。ほら!」

真っ黒に日焼けした筋肉質な腕が、まっすぐに伸びてくる。
私は一瞬躊躇った後で、今はそのゴツゴツとした手を頼るのが身の為だと悟った。

「よしいくよ!せーのっ!」

「きゃっ!」

恐る恐る手を差し出した直後、物凄い力で堤防の上に引っ張り上げられた私は、つい大きな悲鳴を上げた。
かつて経験した事の無かった危険な行いのせいか、それとも初めて男の子に手を握られたせいか、心臓はまだバクバクと音を立てている。
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