瑠璃色の世界で、君に終わらない恋をした。
♦︎
「今日はこのプリントを一緒に解いていくからなー!」

数学の夏休み補習初日、教室に森山先生の気合いの入った声が響く。
窓の外は予報通りの雨模様。湿気をたっぷりと吸い込んだ椅子が膝の裏にぺたぺたと張り付くような感覚が、私はどうも苦手だ。

教室に集まっていたのは、大体予想通りの顔ぶれ。
隣の席では那月がもう、大きなあくびを連発している。

補習の前半は先生の熱の入った解説が続いて、後半は各自問題を解いた。
私は分からない問題に星マークをつけながら、プリントを何枚か解き進めた。
那月は五分おきにシャープペンシルのお尻で突いてきては、なんだかんだと言っている。

「それじゃ、今日はここまで!次回は答え合わせから始めるぞ。今日やった所は、家でちゃんと復習しておけよー!」

先生が最後まで言い終わる前に、一同は急にテキパキと帰り支度を始めた。

「まったくお前ら、帰る時が一番元気だな。雨だから気をつけて帰るんだぞ!」

先生が苦笑いを浮かべながら教室を出て行くと、間髪入れず、何人かがそれに続いた。
私は泰輝に終わったよ、とメールを打ってから、那月と一緒に教室を後にした。
< 64 / 214 >

この作品をシェア

pagetop