極甘ストロベリィ
「到着っ、と」
ある程度歩くと、堤くんは一軒の家の前で立ち止まった。
ここ、どこ…?
ていうか誰の家?
私の頭の中ではグルグルと“?”が回っている。
「佳世ちゃん?ほら、上がって、上がって」
「へっ………」
突っ立ったまま動かない私に、堤くんは少し首を捻りながら声をかけてくる。
………って…
「そんな、知らない人の家には上がれないよっ!」
「え?」
「う?」
私が少し大きな声で言うと、堤くんは大きな目をさらに大きくしてきょとんとした。
お互い見つめ合って数秒……
「…ぶっ……知らない人って……あはは」
「えっ、え?」
突如ケラケラ笑い出した堤くんに、私はあたふたすることしかできない。
そんな私を見て堤くんはさらに笑う。
「もー、なにーっ?」
「ここ、表札、見てみ?」
むっとしながら聞くと、堤くんはトントンと表札を叩いた。
そこにあったのは
「つつ、み?……え…」
「そ。俺んち」
私がガバッと堤くんを見ると、ニカッとした眩しい笑顔で返された。