極甘ストロベリィ
まるでさっきの動物園で会った人みたいな……
チラッと堤くんを見上げると、“誰だよ”って呟いていた。
………え。堤くんちだよね?
堤くんと金髪の人を交互に見ていた時、突然金髪の人がくるりと振り返った。
そして私たちに気づくと…
「けんご────!!!」
そう叫びながら堤くんに抱きついてきた。
私はぽかんとその光景を見ていることしかできない。
「えっ、兄ちゃんっ!!!?」
「そだよ─!謙吾の兄ちゃんだよ─!」
堤くんはその人を無理矢理離しながら、驚いたようにまじまじとその人の顔を見つめる。
私の位置からはよく顔が見えないんだけど。
「今回早くない?」
「あー、雅に呼び出された」
私にはついていけない会話をふたりは繰り広げている。
そんなふたりを眺めながら私は思いっきり息を吸った。
…………ん?
なんか焦げ臭くない?
チラリと台所の中を覗き込んだ私はふたりの間に割って入った。
「ちょっ!焦げてますっ!」
「へっ……あ、ぎゃ──!!」
私の大声に、後ろを振り向いた金髪の人は私以上に大声を出しながら火を消し止めた。