極甘ストロベリィ
堤くんに否定されて、啓太さんはパッと私を見る。
私が苦笑いで返すと本当のことだとわかったのか、少し口を尖らせて座り直した。
「じゃぁ聞くけど、なんでふたりで動物園行ったわけ?」
「俺が誘ったの!」
「は?健吾が?」
堤くんの言葉に今度は啓太さんが目を丸くする。
何に対して驚いて……
「え、だってお前……」
「昔のことはいいから!!兄ちゃん、えのチャンに用あるんだろ?早く行きなよ!」
不思議そうな啓太さんの声を遮って、堤くんはニコニコと言葉を並べ立てる。
でも、なんかその笑顔がいつもと違う……っていうか切羽詰まってるかんじ。
「あ、そうだった。行ってくるよ」
「うん。頼むから行ってくれ」
「そこに土産あるから食べてな。じゃ、またね~佳世ちゃん」
「はあ…」
私がぽかんとしている間に、啓太さんは部屋を出て行ってしまった。
たくさん気になることを残して。