極甘ストロベリィ

少しため息をつきながら卒業アルバムを取り出し、佳世ちゃんに渡す。




「はい……」



「ありがと~」




ニコニコしながら受け取る佳世ちゃんを見て、心がふわっと和んだ。

うん、可愛い。




「堤くん、何組っ?」



「へ?あ~、と…」




今さらだけど、やっぱり見られたくなくて返事を渋ってしまう。

そんな俺を気にもとめず、佳世ちゃんはそそくさとアルバムをめくっていく。




「あ、これ秀弥くん?」



「あー…だね」




ヤバいヤバいヤバい。

3年の時、俺はヒデと同じクラス。

つまり、同じページに俺の写真7あるわけで。

ていうか見えたし、自分の写真。




「ん──…堤くん、どこっ?」




意外とおおざっぱな佳世ちゃんは俺に気付かなかったみたいで、いつの間にか最後のページも見終わっていた。

それはいいから、そんなすがるように俺を見るのはやめて……。

我慢がきかなくなるって…………!!!

< 110 / 160 >

この作品をシェア

pagetop