極甘ストロベリィ
こんな絶好のチャンス、この先ないかもしんない。
しかも今日は凌ちゃんもいないし。
――――よし。
グッと佳世ちゃんの肩を持って、顔を近づけていく。
あと5センチ
4……
3…
───PRR PRR PRR
突如鳴り出す、携帯電話。
その音にハッとしたのか、突き飛ばされる俺。
地味に痛い……心も体も。
「はいっ!……あ、凌?」
佳世ちゃんが落ち着きなく電話に出たのを見ながら、深くため息をついてしまう。
しかも、結局凌ちゃんだし……
“気分は木枯らしだぜ”
とか思いながら佳世ちゃんを見ていると、佳世ちゃんの顔が驚きに変わっていく。
「っ、えぇぇえっ!!!!?」
突然の大声にビクッと肩を揺らしてしまった。
佳世ちゃんは口をぱくぱくさせて、俺のことなんか気にかけちゃいないけど。
「ひ、秀弥くん、と?」
………ん?ヒデ?
やっとこさ声を出した佳世ちゃんの言葉に含まれている、悪友の名前に首を傾げる。
ヒデが関係してるなんて思ってなかったし。