極甘ストロベリィ
返信してふぅっと息を吐き出すと、ふいに袖をくいくいと引っ張られた。
顔だけ動かしてそっちを見ると、電話を終えたらしい佳世ちゃんが上目遣いで俺を見ている。
……な、なんかの罠!!!?
心中は穏やかじゃないのに、外面は冷静な俺。
ていうか、ちょっとフリーズ気味。
そして俺の心中なんか知らない佳世ちゃんは、その体勢のまま口を開いた。
「凌と秀弥くんのこと、聞いた……?」
「ぅえ?あー、うん」
普通に受け答えができてる自分に拍手を送りたい。
まあ、知ってるって言ってもどういう経緯かはよくわかんないけど。
「私、なんか心配で……」
「へ?」
俺が間抜けに聞き返すと、佳世ちゃんは俺の袖を離して正座をする。
そして今度はうつむき加減に口を開いた。
「凌の恋愛がうまくいくのは嬉しい、んだけど……いきなりすぎるかなって…」
「あー…」
意外に鋭い佳世ちゃんに俺は濁った返事しかできない。
それは俺も心配してたことだから。
少し眉間にしわを寄せた時、再び携帯電話が秀弥の着信を知らせた。