極甘ストロベリィ
やっぱり、好きな子には名字より名前で呼んでほしい。
もっと言うと、ほかの男の名前は呼ばないでほしい。
束縛したい気持ちを抑えるため、佳世ちゃんから目をそらして小さく息を吐き出す。
「つつ「ねえ、佳世ちゃん?」
これ以上、名字で呼ばれたくなくて佳世ちゃんの言葉を止める。
佳世ちゃんは“ん?”と、可愛らしく首を傾けている。
「あの、さ…なんでヒデは名前で呼ぶの?」
「………え?」
佳世ちゃんは不思議そうに目をぱちくりさせた。
「名字はイヤって言ってた、からだけど…」
「…そ」
凌ちゃんとヒデのことなんて頭の隅に追いやってしまった俺を、佳世ちゃんは何回もまばたきをして見ている。
てか、その理由なら……
「じゃあさ、俺も名字がイヤって言ったら名前で呼んでくれる?」
「え……っ」
佳世ちゃんの目をしっかり見てそらさない。
そらしてなんかやらない。
「佳世ちゃん」
少しだけ強く名前を呼ぶと、佳世ちゃんの肩が揺れる。