極甘ストロベリィ

頭を抱えて下を見ると、無理矢理座らされてる佳世ちゃんと目が合う。

あー…なんか気まずい。

佳世ちゃんも同じ気持ちなのか、スッと視線が外される。

それはそれで虚しいんだけど。




「ちょっと、あんた佳世に何したのよ?」



「え?」



「よそよそしすぎ!」




隣にいた凌ちゃんに言われ、乾いた笑いを浮かべるしかできない。

そんな俺の様子に何か気付いたのか、凌ちゃんは佳世ちゃんに話しかける。




「佳世っ」



「凌っ!」




凌ちゃんの声に、ぱぁっと明るい表情で顔をあげる佳世ちゃん。

可愛いんだけど、悔しい。俺にはなかなか見せてくれない表情だから。




「暗いし、帰ろ?」



「へ?」

「え?」

「うんっ」




凌ちゃんの言葉に、未だに本棚を漁っていたヒデの動きが止まる。

佳世ちゃんはにこにこしながら立ち上がる。

ちょっと……




「凌ちゃん、来たばっかじゃん!」



「いいのっ。外、暗いし。それに…」




――今池くんも謙吾とふたりで話したいだろうし




小さく呟くように言うと、何か感づいているかのように凌ちゃんは儚く笑った。

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