極甘ストロベリィ
こりゃ、ちょっとまずいかも……

少し引きつった笑いを浮かべながら凌ちゃんを見る。




「あの、凌ちゃ「佳世っ、帰ろっ」




俺の声を遮って凌ちゃんは声を出す。

佳世ちゃんも凌ちゃんの様子に何か気付いたのか、不思議そうな顔をしている。




「……。うん、帰ろっ」




でも、佳世ちゃんはすぐににこっと笑って凌ちゃんの手を取った。

ここは佳世ちゃんに任せる、か……

そう思って見送ろうとした時、ドアの取っ手に手をかけていた佳世ちゃんが一呼吸置いて口を開いた。




「……、あのっ…」



「ん?」




何かを言いたそうに、でも恥ずかしい。

そんな雰囲気を纏った佳世ちゃんは、突然くるりと振り返って俺のところまで駆け寄ってきた。

………な、なに?




「今日はありがとっ!楽しかったからっ」




少しだけ顔を赤くして言う佳世ちゃんにぽかんとする俺。

そして次の瞬間―――



『     』



スッと背伸びした佳世ちゃんに耳元で言われた一言。

耳元で聞こえたその声に、俺の顔が赤くなるのは造作もないこと。

そしてそれを言うと、佳世ちゃんはドアを蹴り破る勢いで部屋から出て行った。

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