極甘ストロベリィ
「ふはっ。あははは」
「ちょっと、堤くん?」
突如笑い出した堤くんに焦って、無意識に堤くんの真下から顔を覗き込んでいた。
最初に離れて座ったはずなのに、気付けばその距離はゼロに等しくなっていて。
片手で顔を覆っていて、堤くんの表情は見えない。
「そっか、そっか。さすが佳世ちゃんだなー」
「???」
意味の分からない発言に、眉間にしわが寄るのは仕方がないこと。
そして、不意に笑うのをやめた堤くんの手が払われてその下に隠れていた瞳と私の瞳が合わさった。
なにか、今までと違う……真剣な目を私はそらせない。
「堤く……っ」
…………
………
……
…?
不意に塞がれた唇。
なにが起きたのか理解していない脳……いや、理解しようとしないと言うべきか。
昔見たアニメの歌が流れる頭の中。
“思考回路はショート寸前~”
「たしかにっ!人を好きになるっていいよね!」
「……へ?」
「うんうん。これからは俺も気持ちに素直に生きるよ」
先ほど塞がれた唇に自分で触れながら、私はごくっと生唾を飲み込んだ。