極甘ストロベリィ

そのとき、入り口付近から聞こえてきた啓太さんの声。




「雅~、謙吾の試合始まるから行くね―!」



「おー」




榎本先生の返事を聞くと、堤くんの後を追うようにドタドタと保健室を出て行った。









「……で?」



「?」



「佳世ちゃんは謙吾をどう思ってんの」




灰皿を取りに立ち上がりながら、榎本先生は私に聞いてくる。

まるでカウンセリングを受けてるみたい。




「どうって……」



「極端な話、好きか嫌いか」



「そ、そんなの……っ!」




好きに決まってる。

嫌いだったら、さっきのキスだって泣いていやがってた。

ぐっと口をつぐんだけど、榎本先生には私の気持ちがモロバレみたいだ。




「ふうん…じゃあ、なにが嫌なんだ?」




ふぅっと息を吐きながら聞いてくる。

その白い煙は上へ上へ立ち上って静かに消えていった。




「そ、それは……妹が…」



「妹?」




そう、私の頭にチラツいたのは華恋。

堤くんを気に入っていた華恋の存在。
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