極甘ストロベリィ
コクンと頷くと、榎本先生は腕を組んで何か考える素振りをした。
どうしたんだろ……?
「お前の妹って…華恋、だよな?」
「……そ、そうですけど」
なんで先生が知ってんだろ…。
先生だからかな……?
少し首を傾げるけど、私以上に先生は何かを考えているみたいで腕を組んだまま黙っている。
そして数秒後、くわえていたタバコを灰皿に捨て、スッと立ち上がった。
「仕方ねえ」
「先生?」
「謙吾の試合、見るんだろ?」
「へ?あ、はいっ」
突然言われて、間抜けな声を出してしまった。
「じゃあ、さっさと行くぞ」
「は、はいっ」
ヒラリと白衣を翻してベッドを後にする先生に、私も慌ててベッドから降り立った。
なんだろう…
このマイペースなところ、堤兄弟にそっくり。
思わずクスクス笑ってしまった。
すると、すかさず頭をグーで叩かれる。
「痛っ」
「人の顔見て笑うんじゃねぇ」
「すいません……」
頭を撫でながら保健室の扉を開けようとした時
――――ガラッ
「へ?」
勝手に開いたその扉。
一瞬、自動になったかと思った。